『ダゲレオタイプの女』を観てきました

ダゲレオタイプの女 ★★★★★
公式サイト:http://www.bitters.co.jp/dagereo/

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全く聞きなれない「ダゲレオタイプ」という言葉、日本語では「銀板写真」と呼ばれるそうです。1840年頃にフランスで実用化されたこの撮影技術は、我々が知るネガに焼き付けるタイプの撮影方法とは違い、固定された対象をダイレクトに画像として銀メッキした銅板上に焼き付けるという特徴があります。このため、この手法で撮影された写真は世界に1枚しか存在し得ないことになります。しかも等身大。

被写体が人物であれば、焼き付けが終わるまで長時間動かずに同じポーズを維持しなくてはなりません。本作の中ではモデルを固定するための専用の器具を使っています。その時間は実に1時間以上。まさに「芸術のために命を捧げる」という表現がピッタリです。
写真家の娘マリーのダゲレオタイプ写真は、まるで生命が乗り移ったかのようです。それだけに「命を捧げる」という言葉が実にリアルで怖い。そして芸術を追求するあまり訪れる悲劇・・・

鑑賞する人によると思いますが、最初から最後まで常に緊張感を強いられる。そんな感覚に陥る作品です。

(終)