『マイ・インターン』を観てきました

マイ・インターン ★★★★★
公式サイト:http://wwws.warnerbros.co.jp/myintern/

Myintern 20151011

「まるで『プラダを着た悪魔』の続編!?」と前評判の、アン・ハサウェイ主演の作品です。といっても、もう一人の主演であるロバート・デ・ニーロ演じる70歳の「新人インターン」ベンの存在感が凄いです。

ベンは電話帳の印刷会社で40年間サラリーマンを務め上げた紳士。妻に先立たれて以来、日々悠々自適な生活を送ってきました。時々は子供達一家を訪問しがてら旅行にいったりすることはあるものの、人生にポッカリと穴が空いてしまったような虚しさを感じています。
そんな中たまたま目にしたのが「老人インターン募集」の広告。業界は、これまで全くといって良いほど縁の無かったアパレルの、それもネット通販を専門としている会社です。経済的には何の不自由も無いし時間もタップリある。それでも「社会の一員」でありたいという人間の欲求がそうさせたのか、ベンは迷わず募集に応じます。

と、ここまでが導入のシーン。入社の面談をパスしたベンは、社長であるジュールズ(アン・ハサウェイ)の専属インターンとして配属されます。しかし当のジュールズはもともと老人インターン制度に乗り気ではなく、最初はそっけない対応。
ここから、会社だけでなくジュールズの私生活で様々な試練が訪れ、最終的にベンはジュールズにとってなくてはならない存在になっていくのですが、ここは観ていただいてのお楽しみ。

何より印象的だったのは、若者ばかりのベンチャー企業の中で、70歳のベンが周りの信頼を勝ち得て職場の人気者になっていってしまう過程です。特にこれといった技能があるわけでもなく、ただ人生の先輩として若者たちに適切なアドバイスをしているだけなのに、誰もが困ったときにはベンを頼るようになるのです。
よくよく見ると、ベンは職場の誰に対してでも誠実に敬意を持って接しているのが分かります。だから皆が信頼を寄せる。これぞコミュニケーションのお手本です。ロバート・デ・ニーロのちょっとはにかんだ笑顔と要所要所で見せる鋭い眼光のギャップに痺れます。

一方のアン・ハサウェイも良い感じです。強気でやり手の女社長と、時折見せる人間としての弱さと危なっかしさがコインのように表裏一体で入れ替わる様が、表情の豊かさと相まって飽きさせません。

これからの人生を生きていく上で、歳をとるのが楽しみになっていくような作品です。

(終)