『ファシリテーションの教科書』読了

会議や議論の場を「仕切る」のではなく、いかに「チームの力を引き出し」成果をあげるか。そのために、ファシリテーターは何をすべきか?

組織の思考力を活性化させるスキルとして「ファシリテーション」という言葉を良く耳にします。

一般的に、ファシリテーションは会議進行の技法と認識されることが多いですが、それはファシリテーションのひとつの側面にすぎません。顧客や市場が求めるモノが多様化し、変化のスピードが速くなってきた昨今のビジネス環境において、ファシリテーションは組織の変革をリードするためのリーダーシップを具現化する必須スキルと言えます。

本書では、ファシリテーションの技術を以下のように分解し解説しています。
・議論の出発点と到達点を具体的に定義し、
・広く深く論点を洗い出す「仕込み」を行う。
・実際の議論の場で論点を適切な状態に保ちつつ、
・参加者の発言を質問で導く「さばき」を行う。

これらは、ただ単に会議を仕切るための表面的なテクニックではありません。組織の意思決定を適切に導くための思考方法そのものであることが分かります。

各章の冒頭で実際の議論の場で陥りがちな事例を紹介し、章の終わりにまとめを示すなど、理解を助けるための工夫もなされています。

本書を読むほどに、いかにファシリテーションというスキルが難易度の高いものであるかを思い知らされることと思います。それだけに身に付けるだけの価値があるのではないでしょうか。