『ソフトを他人に作らせる日本、自分で作る米国』読了

企業の経営者やITに携わる人にお薦めな一冊です。

タイトルが示すような、単純にITに関する日米の比較を論じた本ではありません。
経営と技術にまつわる様々な問題を掘り下げることで、情報システムのあり方について今一度考え直すきっかけを与えてくれます。経営者や情報システム部門の管理者向けの書籍といえるでしょう。

日進月歩で進歩する情報技術の波の中で、技術に振り回されて本来の目的を見失っている企業が多いのが現状ではないでしょうか。
そうならないためには、ビジネスのグランドデザインを描き全体を俯瞰できなければなりません。
グランドデザインのもと、事業部門はビジネスを遂行する責任を果たすために、自分ごととして情報システムの構築・運用に向き合うことが求められます(オーナーシップ)。その前提があって初めて、情報システム部門(IT技術者)が力を発揮できます。

技術に対して主導権を発揮するためにも、社内にシステムを内製できるだけの力をもったチームを育てる必要があります。内製化のメリットして制度変更・新商品開発などの変化に情報システムを適宜対応していけるということも考えられますが、やはり企業が情報技術に対して主導権をもって臨めることが最も大きいでしょう。仮にシステム開発を外注する場合も、内製力があってこそ適切に管理することができます

これからは、トップと技術者が連携してビジネスのグランドデザインを共有することが重要になってくるとは間違いありません。ITに携わる者として、一本筋の通った思想というか価値観を与えてくれた一冊でした。