どうすればシステム開発の現場が幸せになるのか?
そんなヒントを得たい人は本書を読んでみると良いかも知れません。
システムの受託開発を長くやっていると、顧客と開発者との間に意識のギャップを感じることが時々あります。システムの完成させるという目標は一致しているはずなのに、その先の最終ゴールの捉え方が致命的に異なるのです。
こうしたギャップは、システムを使ってビジネスを拡大したり作業を改善することをゴールと捉える側(顧客)と、システムを完成させること自体をゴールとする側(開発者)の立ち位置の違いから考えると、当然なのかも知れません。
このようなジレンマを抱えながらシステムの受託開発をやってきた私のモヤモヤを、本書は多少なりとも晴らしてくれたような気がします。
こうしたギャップは、システムを使ってビジネスを拡大したり作業を改善することをゴールと捉える側(顧客)と、システムを完成させること自体をゴールとする側(開発者)の立ち位置の違いから考えると、当然なのかも知れません。
このようなジレンマを抱えながらシステムの受託開発をやってきた私のモヤモヤを、本書は多少なりとも晴らしてくれたような気がします。
システム開発側(特にエンジニア)はとかくシステムを作ることだけに目が向きがちですが、「ソフトウェアは使い続けることではじめて価値が出る」「なぜそのソフトウェアが必要なのか」等々を常に念頭に置いて顧客と接することで、顧客からの信頼を勝ち取ることにも繋がるのではないでしょうか。
特にソフトウェアは出来上がるまで目に見えない分、使ってみることで顧客が本当に必要とするものが分かることが多々あります。そういった意味でも「納品のないソフトウェア開発」のスタイルは、本当に必要なものだけ作ることが実現できる分、余計なコストがかからず顧客にとっても嬉しいはずです。
一方エンジニアにとっても、顧客からのフィードバックを受けやすく、やりがいのあるやり方であると言えるでしょう。
本書にも書かれているとおり、「納品のないソフトウェア開発」はサービスを提供する会社やスタートアップ企業と相性が良いようです。一方で、少数精鋭のエンジニアで臨む分、大規模な基幹システムには向かないような気がします。
ただ、たとえ大規模システムであっても、顧客と開発者の連携やワークレビューなど「納品のないソフトウェア開発」のやり方を応用することで、従来のプロセスを見直すヒントになるのではないかと感じています。