『トヨタ生産方式の逆襲』読了

トヨタ生産方式の真髄を記した一冊。
製造現場に限らずホワイトカラーの生産性向上を含めた業務改善のヒントが得られることと思います。

トヨタ生産方式というと、よく「在庫を持たない」と曲解されることがあります。
長年トヨタ生産方式の指導に携わってきたコンサルタントが、本書の中でその真髄を披露してくれます。

欠品による機会損失や在庫過多に悩む会社は多いと思いますが、そのメカニズムを解析して課題の本質に迫って構造改革していくことがトヨタ生産方式の本質です。いわゆる「かんばん方式」などを表面的に導入してもダメだということが良く分かります。

業務改善というと、現代はとかくコンピュータシステムに頼りがちになりますが、著者がこれまでに手掛けてきた企業では、むしろアナログな手法を中心に成果をあげてきています。

その具体的な手法が「製品ストア」の設置であったり「後補充」の仕組みです。

本書の後半では、ホワイトカラー(営業・購買・開発など)の生産性向上や、仕入先を巻き込んだ効率的なモノづくりに関するトピックスもあり、企業全体としての改善のヒントが得られることと思います。

最後に、顧客が欲しいタイミングで必要なモノを必要なだけ届けることができるようになるのがトヨタ生産方式の最大価値であり、それには開発・生産・営業が一体となって動くことが必要不可欠である、というメッセージで締めくくられます。