最近TOC理論にハマっています。
そんな中、CCPM(クリティカル・チェーン・プロジェクトマネジメント)を分かりやすく解説した書籍に出会いましたので紹介します。
PMBOKをはじめとしたプロジェクトマネジメント本はプロジェクトの成功指標としてQCDに重きを置く傾向にあり、その手段としてメジャーなのがWBSであったりEVMといった手法ですね。
本書では、プロジェクトの納期を短縮することで組織の利益を最大化することを最終目的として捉え、そのためにプロジェクトの優先順位を経営視点で決定しリソースを集中投入することで全体最適を目指すという思想にもとづいています。
QCDを重視した従来のプロジェクトマネジメント手法との対比という観点でも非常に興味深く読めました。
プロジェクトを任されたプロジェクトマネージャはとかく個々のプロジェクトのみの「部分最適」に陥りがちです。
しかし、経営層をも巻き込んで組織全体の「全体最適」を目指すことが結果的に各プロジェクトに成功に結びつくという「仕掛け」が本書を読むと良く理解できます。
ここで紹介されている手法は、どれもTOC/CCPMのシンプルでかつ奥深い理論に裏付けされたものであり、明日からでも実践できるものばかりです。
本書でも触れていますが、ODCS(目的・成果物・成功基準)を皆で共有しチームワークを重視してプロジェクトを推進するのは、本来日本人が得意とするやり方のはずです。
プロジェクトを実施するのは「人」であり、人と人とのコミュニケーションを重視したプロジェクト・マネジメント手法がCCPMであると言えます。
最後に、TOC理論やクリティカル・チェーンは、PMBOKにも紹介はされているのですが、あくまで「紹介」の域にとどまっており、プロジェクト・マネジメントの世界において今ひとつ浸透していないような気がします。
もう少しCCPMがプロジェクト・マネジメントの主流になってもおかしくないんじゃないでしょうか。
ぜひ現場のプロジェクト関係者に読んでいただきたい一冊です。