企業のITが上手くいくかどうかのカギは、IT部門よりもむしろ経営層を含めた非IT部門にあります。
基幹システムの刷新を経営層に提案する際に費用対効果がどうしても出せずに悩んでいたところ、本書に出会いました。
結論から言うと、まさにこうした悩みに応えてくれる内容が詰まっており、大げさではなく先の見えない道に一筋の光明を見出した思いでした。
結論から言うと、まさにこうした悩みに応えてくれる内容が詰まっており、大げさではなく先の見えない道に一筋の光明を見出した思いでした。
IT部門の人間にとって、経営層や業務部門のITに関する誤解や理解不足をひとつひとつ「ほぐしていく」作業は非常に骨の折れるものですが、本書で紹介されている「プラント型IT」「ツール型IT」という分類を念頭において会話をすることで、相手の課題解決に本当に必要なITが何なのか掘り下げることが可能となります。
「あ、この人(部署)はいまツール型ITの話をしているんだな」といった具合です。
IT部門のあり方に関する考査も同様で、当面は維持発展型でいくのかそれとも新事業創出型を目指すのか、現状の認識と今後の方向性を考える際に参考になります。
「熱海の旅館」や「遷宮」など、分かりやすいたとえ話が全体的に散りばめられています。経営層と話すときにフレーズをそのまま引用できると言っても過言ではありません。
最後に、エンジニアの力量を生かすも殺すもその技術の「使い方」次第、というのが私の考え方ですが、本書に書かれているとおり、すべては経営層の覚悟と優れたITリーダーが生まれるか否かにかかっていると改めて実感しました。