生産管理とデータモデリング


生産管理システムにおけるデータモデルをどのように考えればよいか、ということにフォーカスした技術書です。
データモデリングに関する書籍は他にも多数出版されていますが、生産管理という領域に特化しているところが本書の最大の特徴です。
最初の2章でデータモデリングの基礎(関数従属、正規化 etc)を軽くおさらいした後、部品表、工程表、在庫、入出荷、製造実績、月次計画、原価計算といった生産管理特有の概念について、抱負な実例や図式を交えて解説しています。
本書の最初の方でデータモデリングの基本を解説している部分は、最初は正直蛇足な印象でした。
しかしひととおり読み終えてみると、本書全体を通じてここで解説されている手順が応用されていることが分かります。それは、現実世界における製造業の業務をモデルに落とし込むプロセスであったり、データモデルの表記方法であったりします。
あと本書がターゲットとしている読者層が「業務領域に踏み込もうとしているプログラマ」であることも無関係ではないと思います。いずれにしても、本題に入る前に「読者との共通言語」を定義しておくことは重要なことだと感じました。
データモデルの解説の中で、具体的なデータを例示(インスタンス)する手法も参考になりました。
モデルだけでは、それが業務を実現するのに必要かつ十分であるかどうかの判断は難しいと思います。また、顧客との合意を得るという点でも有効な手法です。
あと、興味深かったのは「データモデルで業務ルールや制約を表現する」という点です。
業務ルールや制約を実装する場合、どうしてもロジック(プログラム)に頼りがちになってしまいますが、「業務のあるべき姿」を論理データモデルで表現することで、情報システムとしての整合性や一貫性が保たれ、ひいてはシステム自体の拡張性や保守性の向上にもつながります。
もちろん、論理モデルから物理モデルに実装する段階で、様々な制約(性能や移行などなど)を考慮して正規化を崩したり制約を外したりすることは現実にはありますが、しっかりとした論理モデル(=あるべき姿)を作っておくことで、技術要素に左右されない堅固な「土台」を持ったシステムになるのではないでしょうか。
「生産管理」という面からみても、色々な在庫管理手法や月次計画といった概念を、具体的なモデルやデータを交えて分かりやすく説明しており、生産管理の基礎を学びたいと考えている人にも適していると思います。
最後に、時間のあるときにでも本書で紹介されているデータモデルを実際にER図に書き起こしてみようかと思います。(その方がより理解も深まりますし♪( ´∀`)b)
(終)
**参考書籍**