「PMI日本支部 関西地区二周年セミナー」に行ってきました

12月3日に大阪市内の「エル・おおさか(大阪府立労働センター)」で行われたPMI関西の二周年記念セミナーに行ってきました。(`・ω・´)ゞ
大阪は久しぶりです。
*エル・おおさか*
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*「エル・おおさか」のマスコットキャラクター(・ω・)*
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開会の挨拶の挨拶の後、基調講演が始まります。
*始まる直前の会場の様子*
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基調講演「ユーザ視点でのプロジェクト管理」
講師:社団法人日本情報システム・ユーザー協会 細川泰秀氏
我が国の企業におけるIT活用に関する現状と、その中でユーザー企業がどのようにITプロジェクトに関れば良いか?という内容でした。JUASが持っている様々な数字やデータに基づく講演です。
まず、日本の情報産業の売上が、ここ3年以上減少傾向が続いているという厳しい現実が示されます。もともと民間企業がITに投資する売上高あたりの予算比率をみても日本企業は外国企業に比べて低いのですが、リーマンショックや円高の影響で更にIT投資の縮小に歯止めがかからずにいます。
そんな中で、企業の経営者は自社IT部門の貢献度をどう見ているでしょうか?
JUASがまとめたデータによると、「システムの安定稼動」や「システムの構築」という面で一定の評価がなされていますが、反面「ビジネスモデルの変革」や「ビジネスプロセスの変革」という面では物足りないと感じている経営者が多い結果となっています。
ITシステムを企画する以前の段階でビジネスモデルを検討する部分において、経営者の期待にIT部門が十分応えられていないことがうかがえます。
この話を聞いて、情報システムを導入することによる目標を明確にした上でその効果を評価する風土をいかに根付かせられるかによって、日本の情報産業の未来がかかってくるのではないかと感じました。
続いて、情報システムの開発プロジェクトの現状に目を向けてみます。
まず開発規模・工期・欠陥率の相関関係がデータによって示されましたが、これによると

  • 工期が長いプロジェクトほど遅延率が高い
  • 工期が長いプロジェクトほど欠陥率が高い

という結果が出ています。
JUASの見解によると、短工期のプロジェクトほど優秀なPMが管理する場合が多いので、スケジュール・品質とも基準を満たす確率が高いとのことです。逆に言うと、大規模なプロジェクトを引っ張れるだけの実力を持ったPMが絶対的に不足している表れとも言えるような気がします。
もう一つプロジェクト成功の鍵を握る重要な要因として、「ユーザ企業がいかに積極的にプロジェクトに関わっているか」ということがあげられています。これは本当に重要なことで、私の過去の経験からも発注側(ユーザ企業)がプロジェクト運営も含めてベンダに丸投げしているようなプロジェクトは、まず間違いなく失敗に終わっています。
その他、発注側が注意すべきこととして、「過剰な要求を出さないこと」といったお話が紹介されて、本講演は終了しました。
「プロジェクトにおける人間系マネジメントの研究」
講師:PMI関西/PM創生研究会(Wg2)
PMI関西のPM創生研究会による「人格コンピテンシーの研究」の成果発表です。
プロジェクト・マネージャー(以下PM)の人間的側面に着目した研究内容で、「はやぶさプロジェクト」や「東海道新幹線プロジェクト」といった事例をベースに研究成果が発表されました。
PMが実際にとった行動から優秀なPMの行動特性を抽出してみる、という手法です。
行動特性としては、次の6つの人格的能力に分類されます。

  1. コミュニケーション能力
  2. 指導力
  3. マネジメント能力
  4. 認識能力
  5. 効果性
  6. プロ意識

例えば「コミュニケーション能力」であれば『悪い情報も常にオープンにする』、「マネジメント能力」であれば『ゴール/ミッションを全員で共有できる』など、業種やプロジェクトの規模を問わず教訓として常に心がけておきたいものです。
「日本のPM風土に適したプロジェクト成功のための発展的アプローチ」
講師:PMI関西/PM創生研究会(WG1)
この講演の背景に、欧米と日本のプロジェクト形態の違いがあることを理解する必要があります。

  • 欧米の企業では「自家型プロジェクト」が多い
  • 日本の企業では「受注型プロジェクト」が多い

つまり、欧米では自社内でプロジェクトを遂行するケースが多いのに対し、日本では自社内ではプロジェクトを遂行する能力が不十分なため、専門企業(ベンダ)にプロジェクトを発注するケースが多いということです。
言うまでもなくPMBOKは米国で生み出された知識体系ですから、想定するプロジェクト形態が「自家型」を前提としたものになりがちです。
例えば、PMBOKにおけるポートフォリオ・マネジメントプログラム・マネジメントプロジェクト・マネジメントの説明の部分は、受託型プロジェクトをメインでやっているとなかなかピンとこないかも知れません。

  • ポートフォリオ:企業における戦略的な事業目標を達成するための、複数のプロジェクトやプログラムの集まり。
  • プログラム:関連するプロジェクトや定常業務の集まり。


情報システム導入プロジェクトを例にとってみます。
プロジェクトを発注する側のユーザ企業では、事業戦略や業務課題を解決するために情報プロジェクトの構築・導入を検討します。「自家型」でプロジェクトを遂行できない場合は、ここでベンダ企業に発注することになるのですが、当該プロジェクトの背景や目的(これを文書化したものを「プロジェクト憲章」といいます)がベンダ企業側に十分開示されない(あるいは存在しない)ことが多々あります。
一方ベンダ企業側に目を向けてみると、顧客企業のプロジェクト背景にある事業戦略や業務課題を理解する必要があるのと同時に自社内での事業戦略やポートフォリオが存在するわけで、それらの整合をとるのがまた悩ましいところです。
PMBOKが日本のIT業界に馴染まないと思われているのは、こんな実情があるようです。
で、この状況を何とか改善しようという提案が本講演のテーマです。


概要は以下のとおりです。
●顧客側の「プログラム(複数のプロジェクトや保守サービス)」を束ねる受注型プログラム・マネージャ(PgM)を任命し、1つのプロジェクトが終了した後も顧客に価値を提供すべく活動を行う。(新たなプロジェクトの立ち上げやPMの任命も行う)
受注型プロジェクト・マネージャ(PM)は、従来どおりプロジェクト運営・成果物について全責任をもつ。またプロジェクト立ち上げ時には、顧客やPgMと協力してプロジェクト憲章の立ち上げを支援する。
●ベンダ企業の事業戦略に基づいてリソースの配分や顧客の重み付けを行う受注型ポートフォリオ・マネージャ(PfM)を任命する。PMOのようなイメージ。
ベンダ企業からみると顧客企業ごとにPgMをたてることによって継続的な案件の受注にもつなげられるし、顧客企業からみると自社の業務を良く理解してPgMによって支援を受けられるという安心感が得られるのではないかと思います。
実現するにあたって色々課題や障害はあると思いますが、検討する価値はありそうですね。
「体験型ワークショップによる若手PM育成に向けた取り組み」
講師:PMI関西
PMI関西が主催する各種ワークショップ/勉強会(あかねプログラム)の紹介と、その中の1つである「あかね工房」が2011年に実施した若手向けのPM体験型ワークショップの実現に向けての裏舞台などが公開されました。
ワークショップは「はやぶさ」をテーマに、プロジェクトの立ち上げ〜終結までを体験してみようという内容です。このワークショップ自体が、立ち上げ/計画/実行/監視・コントロール/終結というPMBOKのプロセス群に基づいて運営されていたのが印象的でした。
PMI中部地域サービスの運営においても、いろいろ参考になる点が多かったと思います。
「鬼に金棒、PEにPMP」
講師:日本プロフェッショナル・エンジニア協会(JSPE)
「JSPE」というのは「The Japan Society of Professional Engineers」の略で、PE資格の取得を目指すエンジニアのサポートや、エンジニアの地位向上等を目指す特定非営利活動法人です。
今回は、エンジニア向けにPMP取得を目指すためにセミナー(「鬼金セミナー」)を実施することになった背景や、その実施計画が紹介されました。
その中で、「プロジェクト」に馴染みがない人向けに説明するために、「結婚」を例え話として使う逸話が面白かったので紹介します。

  • 婚活はプロジェクト
  • 結婚生活はオペレーション(運用)
  • 結婚した瞬間は価値(幸福度)が最も高いが、時間とともに価値は減少していく
  • 価値を(一時的に)高めるためのプロジェクトのひとつが「出産」
  • 「旅行」などもプロジェクト
  • オペレーションの終焉が「離婚(離活)」プロジェクト

他にも、原価の考え方がプロジェクト単体とポートフォリオ/プログラムでは若干異なるという話や、製造業におけるEVM適用の難しさの話が紹介されて、非常に勉強になりました。( ´∀`)b
おまけ
*大阪駅*
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*ゆきだるま*
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(終)