BI(Business Intelligence)についてまとめてみた

エンタープライズ向け業務システム構築の仕事に携わっていると、最近「ビジネス・インテリジェンス(Business Intelligence/以下BI)」という言葉を良く耳にします。
直接BIシステムを導入する案件の場合もあれば、ある業務システムを刷新する際にBIツールと連携するといった案件もあります。
これは、企業がITシステムに期待することとして、従来の「業務効率、経費削減」といったどちらかというと内向きなものから、「事業を拡大したい、他社との差別化を図りたい、顧客の要望を先取りしたい」といった外に向けての経営意思決定の支援を求める内容に変質してきているような気がして、非常に興味深い傾向です。
BIという言葉自体は何年も前から聞いていたのですが、それの意味することは正直良く分かっていませんでした。そんな中、『BI革命』という非常に分かりやすい書籍に出会い、何となく概要がつかめた気がします。
この本の内容を中心に、BIについて簡単にまとめてみたいと思います。
BIとは?
BIとは、ひとことで言ってしまうと「企業に蓄積されたデータを分析し、その結果を経営意思決定に活かす」手法のことです。
BIを活用することによって、3つのメリットがあると考えられます。

  1. 事実データを見ることにより、思い込みを排除できる
  2. 大量のデータの中に埋もれた知識を発見できる
  3. 得られた知識を使って仮説検証を行い、その結果をもとに業務改善につなげられる

このBIを支える情報システムが「BIシステム」というわけです。
システム基盤からみたBI
BIを情報システム基盤の面から整理してみます。
BIシステムは大きく2つの基盤から構成されます。

  1. データ基盤
  2. 分析基盤

簡単にいうと、「データを集めて蓄積する」データ基盤と、「集めたデータをイロイロな角度から分析する」分析基盤という棲み分けがなされています。
■データ基盤
データ基盤には、企業の基幹システムから収集した膨大なデータを格納する「データウェアハウス」、データを目的別(業務別、部門別など)に整理した「データマート」があります。
また、SCM、ERP、POSといった企業の基幹システムのデータを抽出(Extract)、加工(Transform)、書き出し(Load)する「ELT」と呼ばれるツールもデータ基盤の1つの要素です。
■分析基盤
分析基盤の中には様々な分析ツールが含まれており、目的に応じて使い分けます。ここでは代表的な分析ツールを見てみましょう。
●多次元分析
例えば、売上データを商品別や曜日別といった様々な軸で集計する分析手法で、OLAP(On-Line Analytical Processing)と呼ばれるツールを使用します。
●データマイニング
データの中から隠れた知識や法則を発見する手法です。例えば「雨の日は売上が少ない」などが該当します。データマイニングを実行するにはそれなりの専門知識が必要とされています。
●テキストマイニング
自然言語処理と呼ばれる情報技術を駆使して、文書を対象にデータ分析を行うことをデータマイニングといいます。アンケート調査の自由回答やコールセンターで蓄積された応対内容などが分析対象となります。
●シミュレーション
条件となる値をインプットし、それを元にあらかじめ定義した関係式から予測される結果を算出するツールです。売上計画などの目標値を定める際に活用します。
●レポーティング・ツール
分析した結果を、報告書や配布用などの目的に応じて整形する機能です。
BIの類型
ここでは、「BIの活用の仕方」という観点からBIを分類して表にまとめてみます。

分類 用途・目的
パフォーマンス管理のためのBI 集計分析型BI 月別、商品別など様々な角度からデータを集計・分析して意思決定に役立てる。
発見型BI 膨大なデータから隠れた関係性や規則性を見つけ出す。(例:疾病履歴から成人病にかかりやすい法則性を見出す)
変革をもたらすBI What-If型BI 業務方式そのものを抜本的に改革する際に、事前にインパクトを予測する。
プロアクティブBI ユーザの行動を一歩先周りして最適なサービス・機能を提供する。

パフォーマンス管理のためのBI
ここでいう「パフォーマンス管理」とは、全社的な経営から現場の業務に至るまで、様々なレベルでパフォーマンスを測定・監視し、発見された課題に対する対策を講じることを意味します。
パフォーマンス管理のポイントは以下のとおりです。

  • 測定・監視の対象を特定する(顧客、店舗、商品・サービスなど)
  • KPI(Key Performance Indicator)を設定してパフォーマンスの良し悪しを評価する
  • パフォーマンスの悪さやプロセスの異常を早期に発見し、対策を講じる

企業活動のデータ(例えば在庫数など)をリアルタイムに収集・監視するいわゆる「見える化」を実現するツールとしてBAM(Business Activity Monitoring)と呼ばれるものがあります。また、それに加えて発見された課題に対してプロセスの見直し・設計までを行うツールがBPM(Business Process Management)です。
BAMやBPMが現場レベルの業務を対象にしているのに対し、CPM(Corporate Performance Management)またはEPM(Enterprise Performance Management)と呼ばれるツールは企業全体のパフォーマンス管理を視野に入れています。
パフォーマンス管理においては、

集計分析型BIで現状を見える化する→発見型BIで今まで見えなかった法則性を見出す→仮説に基づき対策を講じる→対策による成果の有効性を集計分析型BIで評価する

といったPDCAサイクルを回していくことが重要であると言えます。
変革をもたらすBI
これまでに紹介したBIは、業務レベルの「見える化」や「改善」を視野に入れたものでした。
これに対し、今の業務そのものを全く新しいやり方に変える「業務改革」や、今とは全く違う新しいサービスを提供する「サービス改革」といった、より変革レベルの高い領域で求められるBIについても簡単に紹介されています。
■What-If型BI
業務そのものを劇的に変革するには、大きなリスクを伴います。家に例えると、模様替えが「業務改善」であるならば、「業務改革」は家をリフォームするか1から建て替えるくらいの差があります。
本書では様々な事例が紹介されていますが、こうしたリスクを低減するために、新たな業務方式をシミュレーションして導入によるインパクトを予測する手法として「What-If型BI」が登場します。
ITバブルが崩壊し企業によるITへの投資資金が抑えられつつある現在、このWhat-If型BIを導入することで投資リスクを低減できるという意味でも、今の時代に一層必要とされるBIであると言えます。
余談ですが、最近の Microsoft Excel にも「What-If分析」機能があるので、興味のある方は試してみてはいかがでしょうか。(´∀`)
■プロアクティブ型BI
プロアクティブ型BIの具体的な例をあげると、Amazon.comなどの通販サイトで「この商品を買った人は以下の商品も購入しています」と表示されるアレです。いわゆるレコメンドサービスですね。
ユーザの行動(購入した商品や閲覧した商品)から、そのユーザが欲しがると思われるであろう商品を先回りして提案するといった、新しいタイプのBIです。
他にも、マネー・ローンダリング対策や、コールセンター向けのトラブルシューティングにプロアクティブ型BIが活用されています。
最後に
最近公開された映画『マネーボール』で、米国メジャーリーグの球団GMがデータ分析を駆使してチームを立て直すという実話に基づいたストーリーが描かれていますが、これこそまさに典型的なBIと言えるでしょう。
冒頭でも述べたとおり、企業活動においてもITに求められる内容として、「データを駆使して」「攻めに出る」といった傾向が現れつつあるのではないでしょうか。(というか、なって欲しい・・・)
そういった意味でも、今後ますますBIに目が離せなくなりそうですね。
(終)


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